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多言語の人口統計学辞書 日本語 ed. 1994
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人口学で用いる基礎的統計単位1は、個人2あるいは人2である。ある集団の頭数2という用語が(たとえばperhead, head countという使い方で)同じように用いられたが、現在この用法はあまり使われていない。世帯3とは、一緒に居住する個人から成り立つ社会経済単位である。国際的な標準として勧告された定義によれば、世帯は住居(120-1)と主要な食事を共にしている人々の集まりをいう。過去には炉3という言葉が用いられたことがあり、世帯を同じ炉の火を共用した人々で構成される人々の集まりとしたこともある。世帯の分類は国によって、そして調査によって異なる。ほとんどの分類では一般世帯4と集合世帯5の二つのタイプに分けるのが普通である。1人だけで住んでいる世帯は単独世帯6として特計する場合が多い。下宿人7は住み込みのお手伝いさんとは異なるが、世帯の他の成員とは血縁姻戚関係を持たず、食事を世帯員と平常共にする人々である。一方、間借り人8は下宿人によく似ているが、食事は平常別にする人達である。この二つのグループは、統計目的によって世帯員に含める場合とそうでない場合がある。
- 4. 一般世帯の中でその成員がお互いに血縁・姻戚関係にある場合を親族世帯 family householdと呼ぶ。
- 5. 集合世帯はそれぞれの目的に沿った施設世帯 institutional households、すなわち病院、刑務所等に住む人達からなる世帯を含む。さらにその他の集合居住住宅(120-1*)(たとえば寮・寄宿舎、社会施設、自衛隊舎等)に住むお互い血縁・姻戚関係にない人々も含む。ただ、最近の国際的に勧告された定義によれば、世帯および世帯人口 household populationといえば一般世帯に限定され、さもなくば施設等の世帯の成員 persons not living in householdの意味で用いる。
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一般世帯(110-4)は、世帯員1と呼ばれる若干名の人々から構成される。世帯員の中の1人が世帯主2である。国際的にみて、世帯の中で世帯主が誰であるべきかについて一致して承認された定義はない。いくつかの国では、それは世帯の中の主要な稼得者3であるとしている。ほとんどのセンサスの質問票では、世帯員の世帯主に対する続柄4を尋ねている。これによって、二つ以上の生物学的家族または核家族(113-1)の成員から成る合成世帯5、あるいは複合世帯5の中のグループを区別できる。合成世帯あるいは複合世帯はいくつかの核6からなる。すなわち第一次核7と第二次核8である。これらの核は一般に家族(112-1)と呼ばれる。世帯規模11とは、世帯に含まれる世帯員の数を指す。
- 2. 世帯代表者 householderという言葉がしばしば“世帯主”の同義語として用いられることがある。世帯主 headshipという言葉は、世帯主率 headship rateという形で用いられることが多いが、これは性(男女)・年齢別世帯主数をそれに相当するカテゴリーの人口数で割った商である。
- 6. 家族核は夫婦家族単位 conjugal family unitとも呼ばれる。
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家族1(§113と§115を参照)は世帯(110-3)から注意して区別しなければならない別の単位である。それは主として結婚、出産、あるいは養子縁組によって関係づけられたものをいい、法律や習慣によって規定されるものである。基本的な家族関係は、一つは結婚による夫婦関係であり、もう一つは両親2つまり父親3、母親4と、彼等の子供5、つまり息子6そして娘7との関係である。
- 2. 親 parent(名);親のparental(形);親であること、または親になること parenthood(名)。
- 3. 父親 father(名);父親のpaternal(形)。
- 4. 母親mother(名);母親のmaternal(形)。
- 6. 息子son(名);息子のfilial(形)。
- 7. 娘daughter(名);娘のfilial(形)。
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両親と子供達だけが構成する家族は時として生物学的家族1または核家族1と呼ばれる。兄弟2、姉妹3について男女の区別がない場合は、きょうだい4と呼ばれる。片方の親とだけのきょうだい関係を異父母兄弟5、異父母姉妹6と呼ぶ。拡大家族7とは核家族よりも大きく、一般的にいくつかの核家族から構成されているものである。
- 1. 単純家族simple familyあるいは基本家族elementary familyとは、しばしば上記の生物学的家族あるいは核家族と同義語である。厳密にいえば、それは生物学的家族で、両親と子供だけの家族を指し、養子は含まない。
- 2. 複合家族composite familyあるいは結合家族joint familyとは、しばしば拡大家族と同義語として用いられる。多くの場合、拡大家族とは親族のすべての成員を指すのが普通である。
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血統1を通じて同じ祖先2を共有する人々を血族3あるいは遺伝学的親族3という。親族3そして集団的意味での血族関係集団3という表現も行われている。親等4とは、一般に各々共通の祖先までの世代数を合計して算出する親族関係の親疎の程度を測る単位であるが、しかしほかにも測り方については多くの方法がある。これらの続柄の関係の中で、基本的関係は子から親への関係5(112-6*と112-7*を参照)であり、これは親から子への関係6(112-2*参照)の対比語である。別の言葉でいえば、両親、そして父あるいは母の子7あるいは子孫7に対する関係である。血縁関係は姻戚関係8、すなわち結婚によって相手の配偶者の属している別の親族との間に生じる新しい関係とは区別する必要がある。
- 1. 血統descent(名);子孫descendant(名):血統によって結びつけられた人達。
- 2. 祖先ancestor(名);祖先のancestral(形)。
- 3. 親戚relative(名);親戚のrelated(形);親戚の関係relationship(名):親戚関係にある状態。親戚relativeという用語は、血縁か結婚によって関係が生じる人々に対して用いる。
親族kin(名、形);親族関係kinship(名):親族であること。 - 7. 子孫progeny(名):これは共通の祖先から由来したすべての後裔をいう。
- 8. あるいくつかの国では、結婚によって生じた姻戚関係にある人々は義理の関係in-lawsにあるという。
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家族1(112-1参照)とは、世帯(110-3)のすべて、あるいはその一部を指す人口研究上重要な用語であるが、その定義は使用目的によって少しずつ異なっている。統計的家族1あるいはセンサス家族1は、一般的に血縁、養子縁組あるいは結婚によって関係づけられた世帯のすべての成員を含む。しかし、世帯は家族を含むこともあるが、含まないこともある。統計的家族は二つ以上の世帯を含まないが、世帯は二つ以上の家族を含むことがある。いくつかの国では、統計的家族は生物学的家族(113-1)とほぼ同じ意味であるが、ほかの国ではその定義は家族核2を意味し、それは子供を持たない夫婦、あるいは未婚の子供を持つ夫婦、さらに片親と未婚の子供を持つ家族を指す。これらはセンサス家族自体か、あるいはそのような家族の中心部分を形成する。
- 1. 米国では、下位家族sub-familyとは、子供のあるなしにかかわらず結婚している夫婦、あるいは片親とその18歳未満の未婚の子供からなる家族であって、しかも、その家の世帯主あるいはその妻に対し親戚関係を持つが、彼等自身は世帯主ではない場合の家族をいう。イギリスでは、第一次家族単位primary family unitとは、両親とその子供達、さらに両親の兄弟姉妹、あるいは両親よりも古い世代から成り立つ。欠損家族broken familyとは両親のうち1人を死亡、離婚あるいは失踪で失った家族のことである。
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人口学の文献によれば、世代1という用語は厳密な意味で使われ、一般には暦年で測られたある特定の期間に生まれた人達を指す。コウホート2(訳注)とは、特定の期間に出生とか結婚のようなある特定の人口上の出来事を経験した人々のグループをいう。たとえば、出生コウホートは、前述116-1の意味で世代と同意語になるし、結婚コウホートとは、ある特定の期間中に結婚した人々のグループをいう。人口学においては、系譜学と同様に、世代3とは、前述の116-1の概念で使われた先行世代からみて彼等の子孫を意味することもある。すなわち、移民の子供達はしばしば二世と呼ばれる。男女のいずれかに限ってその子孫の血統を問題とする場合がある。たとえば男系4、あるいは父系4といい、男系の息子、あるいは父方の息子という使い方をする。女系5あるいは母系5の場合は、女系の娘あるいは母系の娘というように用いる。このような男系、女系の区別は普通世代の長さあるいは隣接した平均世代間隔を計算する際に用いられる。(713-1参照)。
- 2. コウホートcohort(名)。コウホート分析cohort analysisとは、一生あるいは特定の期間を通じて、それぞれ異なったコウホート経験を追跡し分析する方法である。
ある年に軍隊に徴兵された男性の場合、彼等は何年期生classと呼ばれるが、米国では、それはある特定年に学校を卒業したグループを指して用いられる。
(訳注)この用語は、ほかにコーホート、コホートと表記されることがある。
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