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多言語の人口統計学辞書 日本語 ed. 1994
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人口学でもっとも頻繁に用いられる平均1は算術平均2であって、一連の指標に関する数量の合計をその生起回数で割った商から成っている。平均という言葉が何かの限定を付けずに用いられる場合は通常、算術平均を意味する。幾何平均3は、全観測値が正の場合に用いられることがある。これはN個の数値の積のN乗根である。加重平均4は個々の数量にそれぞれ違った特定の重み5を乗ずることにより求められる。中央値(中位数、メディアン)6は一組7の観測データを大きさの順に並べた時にちょうど中央に位置するデータの値である。最頻値(モード)8は一連の観測値の中で最も普通でありよく用いられる値である。
- 1. 平均average(名):形容詞としても用いることができる。
平均mean(名):形容詞としても用いることができる。 - 5. 重みweight(名):加重する(重みづけする)weigh(動)。
- 6. 中央値(中位数、メディアン)median(名)(訳注):形容詞としても用いることができる。
(訳注)日本語の場合、名詞としては中央値、形容詞的用法としては中位数という言葉が用いられる傾向がある。たとえば、年齢中央値と中位数年齢は同じものを指す。 - 8. 最頻値(モード)mode(名);最頻値のmodal(形)。
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一組の観測値の散らばり1、散布1、変動1、ばらつき1はその要素間の差異2ないし偏差2によって定まる。ここでは、もっとも普通の散布度3のみが論じられる。範囲(レンジ)4は一組の要素の最大値と最小値の差である。四分位範囲5は第一と第三の四分位数(142-2)の差で、一組の観測数の半分を占める。四分位偏差6とも呼ばれる半四分位範囲6は四分位範囲の半分であるが、しばしば散布度として扱われている。平均偏差7は平均からの個別項目の偏差の正数を算術平均(140-2)したものであり、分散8はこれらの偏差の2乗の算術平均であり、標準偏差9は分散の平方根である。
- 9. 標準偏差は通常、σと表記される。
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一連の観測値が下から上に向っての順に並べられた場合、自らよりも下位の割合の観測値を持つ数値は、分位点1ないし順位別統計量1と呼ばれる。中央値(140-6)は前述の通りである。その他の重要な順位別統計量としては四分位数2、十分位数3、百分位数4があり、それらは観測値をそれぞれ四等分、十等分、百等分したものである。
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ある変数が所与の間隔でいかなる二点間でも無数の値をとり得る場合、その変数はその間隔において連続的1であるという。逆の場合、それは非連続的2であるといわれる。ある変数がいくつかの孤立した数値しかとれない場合、それは離散的3であるといわれる。
- 1. 連続的なcontinuous(形);連続性continuity(名)。
- 2. 非連続的なdiscontinuous(形);非連続性discontinuity(名)。
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母集団の成員を特定の属性あるいは変数による種々のカテゴリーないし階級に並べることによって度数分布1が生じるが、これは分布1と省略されることが多い。個別の集団ないし各欄における数値、すなわち絶対度数2ないし階級度数2の全集団における総数に対する比率は、その集団における相対度数3と呼ばれる。人口学では構造4と構成4という用語が年齢、性(男女)、配偶関係、職業等の特性の分布を記述するために互換的に用いられることが多い。構造はより限定された意味で、年齢と男女のみによる人口の分布を記述するために用いられることがある。
- 4. 人口分布という用語は通常、その空間的分布のことをいう。しかし、分析対象の特性ないし属性の名称とともに用いられる場合には、分布という言葉は構造ないし構成の同義語である。したがって、年齢別分布、性(男女)・年齢別構成(訳注)、性(男女)・年齢別構造といわれることがある。
(訳注)age and sex compositionのsexをどう訳すかについては、これまで人口静態統計関係では、年齢別、男女別あるいは男女年齢別構成とし、人口動態統計関係では性・年齢別構成として用いて来たが、本辞典では性・年齢別構成を第一義的訳語としている。
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