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多言語の人口統計学辞書 日本語 ed. 1994
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国または国家の居住者は、ある種の政治的権利を享受するその国家の臣民1、市民1、もしくは国民1であるか、外国の市民である在留外国人2または外国人2であるか、またはいずれの国の市民でもない無国籍者3と呼ばれる人々である。“臣民”という語は隷属的な意味を持っていたが、今では英語のsubjectsという語にその意味はなくなり、市民の同義語として受け取られることが多い。ただし、時には臣民と市民とを区別することがある。一国の市民は一般に、その国の国籍4を持つ。この語は今日、市民権4と同じ意味で用いられるが、多民族国家6では政治的国籍4と民族籍5とを区別することもある。
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在留外国人は帰化1によってその居住する国の国籍を取得し、帰化市民2または帰化人2となることもある。国によっては帰化証明書3が取り消される4ことがあり、その場合帰化人は国籍を喪失5することになる。人によっては国籍が一つ以上ある場合もあり、その場合は二重国籍6を有するといわれる。母国ではない国にずっと住んでいる居住外国人7と、比較的短期間住んでいる外国人訪問者8または短期滞在外国人8を区別することもある。
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居住している領域に生まれた個人を、その領域の土着民1という。もしその祖先がその領域の原住民であれば、原住的な2、固有の2または土着の2居住者であると呼ばれる。この最後の言葉は、しばしば未開人に向けて用いられる。統計上は、その土地生まれの3人と、外国生まれの4人の区別をする。
- 1. 土着のaboriginal(形);土着民(先住民)aborigines(名、複数)。
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人種1という用語は一般に、遺伝によって伝えられたある共通の身体的特徴を有する人々の集団を意味すると考えられる。人口センサスの方法によっては、この用語は時にやや漠然と用いられ、時には共通の文化や民族的な血統で結ばれている人々の集団、さらには一定の領域に住む人々を指すことさえある。そのほかに、時々用いられる用語で民族2という表現があり、ここでも定義の違いによって意味するところが同じではない。民族は一般に、文化、言語または宗教的伝統を共有する人々の集団を意味する。一つの民族が一つの人種であることもあり得る。国民3(305-2を参照)は通常、共通の過去または共通の文化で結ばれる人々の集まりである。一定の領域に住む人々で、人口の過半数とは明らかな違いを示す人々は少数者(マイノリティー)4と呼ばれる。たとえば少数民族4、少数国民4、言語上の少数者4、宗教上の少数者4と呼ばれる。
- 1. 人種race(名);人種的のracial(形)。
人種差別主義racism(名):ある人種が本質的に他の人種より優れているとする理論;人種差別的なracist(形)。 - 2. 部族(種族)tribe, tribal groupは文脈によって現在でも用いられているが、“民族”ethnic groupに代る傾向にある。
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個人は時に、その肌の色1で区別されるが、それは厳密な定義でなく、皮膚の外見上の色どりによっている。国によっては、白人2と有色人3とを区別し、後者を非白人3と呼ぶこともある。異なる肌の色の人同士の結婚を異種族混交4と呼ぶことがある。こうした組み合わせから生まれた人は、混血5であるといわれる。
- 4. この意味で異種交配(交雑)crossingということがある。これはまた、個人が時間的経過を介して人種的自己帰属意識を変えることをいう。
- 5. 白人と黒人negroとの子供はミュラトーmulattoと呼ばれる。南米では、ヨーロッパ人の子孫とアメリカインディアンとの子供をメスティーソmestizoと呼ぶ。ヨーロッパ人の子孫とアジア人との子供は時に、ユーレーシアンeurasianといわれる。
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