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多言語の人口統計学辞書 日本語 ed. 1994
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労働人口1または経済活動人口1と、非就業人口2または非経済活動人口2とは通常区別される。一般的にいって、労働人口は有給の活動3に従事している人々である。有給の活動すなわち経済活動3は所得の発生に貢献する活動である。無給の家族従業者(353-5)は普通、経済活動人口に含まれる。無給の家事労働に従事している主婦4、学生、定年退職者などは通常含まれない。非経済活動人口は時に、労働人口の生産活動によって扶養されているという意味で、被扶養者5(358-1)と呼ばれる。(ただし、§358で述べるこの用語の異なる意味を参照されたい)。労働人口の総人口に対する割合は通常、性(男女)と年齢階級などに関して計算され、経済活動率6または労働力(参加)率6と呼ばれる。
- 1. 有給の就業人口gainfully occupied population、有業者gainful workers、労働力labor forceは、労働人口および経済活動人口の同義語として用いられる。労働人口を統計的に計上するために、有業者方式または労働力方式が用いられる。有業者方式gainful worker conceptによれば、労働人口は通常、有給の仕事に従事している人々から成ると定義づけられる。労働力方式labor force conceptによれば、労働人口調査時に先立つ一定の期間に収入を得て仕事に従事していた人、またはそのような仕事を希望し、あるいは探していた人々の集団と定義される。
351
労働人口を構成する労働者1は、就業者2あるいは失業者3に分類される。労働力方式(350-1*)によれば、積極的に求職中の4人、あるいは特定の期間中に一時帰休して(解雇されて)いた人のみが通常、失業者として数えられる。就業人口5とは、給料または収入のために現に働いている人全員をいう。経済活動人口の中には、国またはその時代の経済状態により、通常ならば可能な仕事、あるいは望んでいる仕事に十分に従事できない労働者もかなり多い。この場合、不完全就業6または部分失業6という用語が用いられる。縁辺労働者7はごく稀に経済活動に参加するが、有業者方式(350-1*)によれば、普通の場合労働力には入らない人達である。
- 2. 就業者employed(名、形);就業employment(名):個人が経済活動を行っている状況。就業状態employment statusは、就業者または失業者のいずれかに分類することをいう。
- 3. 失業者、失業しているunemployed(名、形);失業unemployment(名)。
- 6. 時には労働力の不完全利用underutilizationという。不完全就業と不完全利用は、その人の資格以下のレベルの職で働いている人々の状態を指すことがある。
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労働人口(350-1)の職業分類1は、構成員を職業2によって区分けしたものである。職業を職業集団3または職業階層3に分けるために使われる主な基準は、必要とされる技能や訓練の類似性を含めて、労働者の従事する仕事の類似性である。
- 1. 国際労働機構International Labour Organisationは、比較を可能にするために国際職業標準分類を作成している。
353
労働人口(350-1)は通常、従業上の地位1によっても分類される。分類では、業主2は一方で雇用者3と区別され、他方では自営業者4と区別される。後者は有給で雇用者を雇用しないが、業主と同じように、通常別のグループとして区別される無給の家族従業者5の手伝いを受ける。職業分類と従業上の地位分類を組み合わせて、社会的地位区分6を設けることができる。
- 1. 地位status(雇主employer、雇用者employeeなど)による分類については、各国の人口センサスにおいて種々の用語が当てられている。たとえば、“産業上の身分”industrial status、“雇用上の地位”status in employment、“産業上の地位”position in industry、“従業上の地位”class of workerなどがそれである。
- 2. 経営者managersは雇用者であっても、時に雇主に数えられる。
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雇用者(353-3)のカテゴリーがさらに細分されることがある。この中には家内労働者1があり、彼らは自分の家で、時には複数の業主のために働く人達である。雇用者を肉体労働者2と非肉体労働者3または事務労働者3に分けることもある。肉体労働者は、技能4によってさらに細分することができ、熟練労働者5、半熟練労働者6および不熟練労働者7に区別される。見習8は時に、雇用者の一部として扱われる。
- 2. 雇用者のもう一つの分類法として、日給または週給の賃金労働者wage earnersと、月給またはそれより少ない頻度で給与を受ける給与労働者salaried employeesがある。合衆国の統計では、職業上の部門を大きくホワイトカラー労働者white collar workers、職人craftsmen、職工operativesおよび非農業労働者non-farm laborersを含むブルーカラー労働者blue collar workers、サービス労働者service workers、農業労働者(356を参照)の四つに区分している。
- 7. 筋肉労働者laborerは、不熟練労働者であり、非常な肉体的重労働を行う人をいう。
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雇用者(353-3)の中では、政策決定を行う役員1と、意思決定を実行する管理職2、および工員、作業員を指揮する監督者3または職長3の区別がなされることが多い。
- 1. アメリカ合衆国では、幹部役員executiveという語は経営陣の一員を意味する。
356
農業には特別な分類が適用される。農業従事者1または農場経営者1は、利益を目的として土地を耕作する人々である。この中では、土地を所有する農場保有者2、地主から土地を借りる小作人3、土地と家畜を借りて収穫の一部で借料を支払う分益小作人3が区別される。農業労働者4は農場主に雇用されて働いている人々をいう。
- 1. 給料を得て働いている農場管理者farm managerも一般に、農場主として分類される。
- 2. スコットランドでは、小規模の農場主は小農crofterと呼ばれることがある。非常に小さな農場をもつ農場主も、小自作農smallholderと呼ばれる。
- 3. 農業労働者は三つのタイプに分かれる:フルタイムの農業労働者fulltime agricultural laborers、日雇い労働者day laborers、季節農業労働者seasonal agricultural laborersがある。この最後のカテゴリーは移動労働者migrant laborersから成ることが多い。
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労働人口は同様に、産業1、または経済活動分野1によって分類される。この分類は個々人が働く企業2または事業所2の特性によって異なる。農業就業者3と非農業就業者4に人口を分けることが一般に重視される。公務員5は時に別掲され、軍人6または軍関係者6は通常、分類を別にする。ただし公共企業の雇用者は、産業人口に含まれるのが常である。産業は一般に三つの部門、すなわち第一次部門7(農業、狩猟、漁業および鉱業)、第二次部門8(製造業、建設業および電気・ガス・水道などの公益事業)、第三次部門9(商業、金融業、運輸業およびサービス業)に分類される。開発途上国では、伝統的部門10が別掲され、経済の近代的な部門と対比される。
- 1. 国際比較を目的として、国連は全経済活動の国際標準産業分類を制定している。
- 5. 国家公務員civil servantは中央政府の雇用者(353-3)である。職員officialという用語は政府公共団体の雇用者であるが、時として大きな会社の給与所得者に対しても使われることがある。公務員government employeesと民間労働者private workersとを区別することが多い。
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非経済活動人口は、被扶養者1(350-5)と自活者2に分けることができる。被扶養者は、稼得者3または生計維持者3に扶養される。これは、たとえば主婦(350-4)と扶養されている子供4の例である。自活者とは、自分で生きて行くのに十分な資力を持っている人で、金利生活者5または資産生活者5、退職者6、年金生活者6などである。被扶養者の特別なカテゴリーとして、生活保護受給者7または公共福祉受益者7がある。働くことができない人は、雇用不適格者8と呼ばれる。非活動人口の活動人口に対する割合を経済的従属比率9という。
- 1. 被扶養者dependent, dependant(名);扶養されているdependent(形);被扶養(従属)状態dependency, dependancy(名):扶養者に依存している状態。
- 9. 成人人口に対する年少人口および老年人口の割合を、従属人口指数age dependency ratioと言う。
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生計を立てている経済活動の部門によって人口を分類することができるが、その場合被扶養者はその扶養者と同じカテゴリーに入れられる。特定の活動部門に対する依存人口1、特に農業依存人口2という言い方がある。農業人口2という用語が時に同義語として用いられるが、農場に住むか、農業に依存している農家人口2の意味で用いられることもあり、非農家人口3または非農業人口3と区別される。
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人口センサスで、虚弱者1や障害者2を別掲にすることがよくある。彼らはその虚弱2または障害2の種類によって分類される。肉体的虚弱3、または視力障害や聴力障害などの身体障害3は一般に、精神衰弱4または精神薄弱や痴呆などの精神障害4とは区別される。
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個人の労働力生命1の研究には、労働力への参入2と労働力からの離脱3の研究が含まれる。参入については、これまで活動したことのない人々と以前に労働力の一員であった人々が区別される。離脱は、たとえば死亡、引退4、一時的休職といった要因別に表示される。分析はコウホート別または期間別によって行い、労働力参入率5、労働力への参入確率6、労働力からの離脱率7、そして労働力からの離脱確率8を最終的に要因別に取り扱う。これらの諸指標は年齢または年齢階級別に計算される。
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これらの諸指標は、期間別またはコウホート別の労働力生命表1を計算する助けとなる。前段で述べた確率に加えて、これらの表には労働力への参入年齢2と労働力からの離脱年齢3による分布(最終的には、死亡を考慮するかどうかをによる要因別分布)、労働力への平均参入年齢4と労働力からの平均離脱年齢5が含まれる。労働力余命6、粗労働力余命7(死亡の影響を除外した場合)、および純労働力余命8(死亡を考慮した場合)はすべて、各年齢で活動人口として生き残る平均労働年数を意味する。ある年齢で労働力に参入する人々の労働力余命は、その年齢以降の平均就労期間9を意味する。同じ指標は、全参入年齢について総合的に計算することができる。
- 1. 休職により労働力から一時的に離脱する人の割合が全体の人数に比べて無視できるほど小さい時は、こうした表が計算される。この条件は男性についてはほぼ当てはまる。女性については、労働力への新規参入first accession to the labor force, entry into the labor forceと労働力への再参入re-entry into the labor forceとを区別する必要がある。
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