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多言語の人口統計学辞書 日本語 ed. 1994
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出生、死亡、移動の相互作用によって、人口増加(成長)1が決められる。人口減少2は負の増加3とみなすと便利である。(人口増加要因との関連で)人口は封鎖人口4と開放人口5に区別できる。前者は、流入・流出のいずれの移動もなく人口増加が出生と死亡との差に全面的に依存しているのに対して、後者の場合には移動が存在する。開放人口の増加は、移動の差6あるいは純移動6、および自然増加7から成る。この自然増加は、出生の死亡に対する超過8のことであり、時には出生数と死亡数との差8とも呼ばれる。
- 1. 人口ゼロ成長zero population growthという用語は、大きさが変わらない人口を意味する。
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所与の期間の平均人口に対するその期間の増加総数の比率は、増加率1と呼ばれる。
この率は、時には平均人口よりはむしろ期首人口を分母として計算される。歴年で1年以上の期間の人口増加を問題とする場合、年平均増加率2が計算される。この率を計算する際には、その期間内の人口は指数関数的増加3によるものと仮定され、また時間は連続的変数として扱われる。この指数関数的人口4の規模は、時間の指数関数として増加する。指数関数的増加率5は瞬間増加率5に等しい。ある期間の平均人口に対する自然増加(701-7)の比率は、粗自然増加率6と呼ばれ、粗出生率と粗死亡率の差に等しい。生命指標7は、ある期間の死亡数に対する出生数の比率のことであるが、この尺度は現在ではあまり使われていない。
- 3. 時間を不連続変数として扱う場合には、幾何級数的増加geometric growthといわれる。
- 4. これは、時にマルサス的人口Malthusian populationと呼ばれる。しかし、その社会学的含意(906-1を参照)を考えると、この用語は曖昧である。
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封鎖人口(701-4)が、十分長期間にわたって一定の年齢別出生率と年齢別死亡率(633-9;414-1)に従う場合は、その年平均増加率は一定になることが分かっている。この一定の増加率は安定人口増加率(または真性自然増加率)1と呼ばれ、またこの段階に達した人口は安定人口2と呼ばれる。安定人口においては、各年齢階級の人口割合は一定である。すなわち、この人口は、安定的年齢分布3を持つ。この安定的年齢分布は、初期の年齢分布4とは関係なく、一定に保たれた年齢別出生率と死亡率にのみ依存している。現実には年齢別出生率と死亡率は不断に変化するもので、実際の人口が厳密な意味で安定状態に達することは決してない。しかし、一つのモデルとしての安定人口とその真性率を計算すると、ある年齢別出生率の下における潜在成長力5の指標が得られるであろう。安定人口増加率がゼロの安定人口は定常(静止)人口6(433-3*)と呼ばれる。定常(静止)人口においては、所与の年齢階級の人口規模は、生命表の生存関数(432-3)を年齢階級の上限から下限までを積分したものに、全年齢階級に共通する一定の数(たとえば100,000)を乗じたものに等しい。準安定人口7とは、安定状態から出発して、一定の年齢別出生率と徐々に変化する年齢別死亡率によって変化しつつある人口である。ロジスティック型人口9とは、ロジスティック法則10にしたがって増加する人口のことである。それは、増加率がすでに生存している人口の線形関数として減少すると共に、上限に向かって漸近的に増加する人口のことである。
- 1. 真性率はintrinsic rateは、これを発見したロトカLotkaによって安定人口増加率(真性自然増加率)true rate of natural increase とも呼ばれるが、真性出生率intrinsic birth rate(もしくは安定人口出生率stable birth rate)と真性死亡率intrinsic death rate(もしくは安定人口死亡率stable death rate)の差に等しい。
- 2. 安定的stable(形);安定性stability(名);安定する stabilize(動)。
安定人口分析stable population analysisとは、安定人口モデルの特性を用いて、実際の様々な特徴を推定することである。 - 6. 定常的(静止的)stationary (形);定常(静止)性stationarity(名)。
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